《 第十考:川越の山車の構造を探る〜川越山車解体編B 》
六軒町様の山車の解体、第3回です。今回は上枠のバラしからです。
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隅飾りを外していきます。同時に三味線胴の養生が行われています。このまま仕舞われます。
他の部材も手際よく養生して生きます。手馴れた感じでサクサク包まれていきます。
その間に上枠の化粧板を外しに掛かります。込栓を外し彫刻が刻まれた化粧板を外します。
上枠の化粧板を外していきます。化粧板といっても上枠としての部材でもあるので厚みがあります。
廻り舞台の構造が見えてきました。上枠と下枠に円状のレールがあり。サンドイッチされる形で、
ベアリングとなる滑車が巡ることで囃子台が回転するという川越の山車では定番の構造です。
上枠の構造体を下ろします。これにはレールも含まれていて結構な重量です。外されると、
放射状に伸びた鉄の棒に滑車が取り付けられた、蛇の目と呼ばれる部分の構造が露になりました。
廻り舞台の心棒は鉄製。後で出てきますが、実は木の芯に鉄製の部品を被せてあるハイブリット(?)
構造です。手前に滑車が見えます。やや中央が膨らんでいるのが見えます。右は外される蛇の目。
蛇の目を上から見てみます。中心から同心円状に16個の滑車があります。16個というのが必要な滑車の
数で、これ以下ですと回転がスムーズに行かないそうです。右は廻り舞台の心棒拡大写真です。
下枠も同様にバラします。下枠から下は今回修理されている為、部材が真新しいです。下枠の下面に
化粧板があるので、そこも外していきます。下面全部の化粧板を外してします。
下枠の化粧板が外された状態。白木がキレイです。その頃、上高欄の三味線胴が函に仕舞われました。
井桁台の腰板、障子と呼ばれる化粧板も外されます。驚くのは側板としての体を成しているだけで、
構造体(束や梁、横木)としての機能は果たしていないという点。バラしてみないと分からない点です。
井桁台の構造は、こんな感じです。後方の束、2本がかなり接近しているなど、特殊な部分があるのが
気になります。もしかすると廻り舞台改造以前の苧環が接置されていた部分なのかも知れません。
右写真は、廻り舞台の心棒となる部材。本体が木で出来ているハイブリット構造なのが見えます。
井桁台内部では、新材に符牒をふっています。「右イ」「左ハ」とか、部材を組み合わせる位置を書き込み、
組み立ての際の目印とします。右は廻り舞台の下側のレールです。丸い円盤がそのまま1枚となっています。
上下がイロイロ逆さまですが、滑車が上下のレールでサンドイッチされる構造がイメージできるのが
左の写真。山車のほうでは、井桁台と、車台とを結ぶ縄を外していきます(右写真)。
井桁台から上の部分が車台から降ろされます(左写真)。車台のみとなった山車(右写真)。
車台を上から見てみます。車台と車輪を結ぶ縄が見えます。前後から引っ張ることで心棒が、
前後に倒れることを防いできます。頬杖と呼ばれる部材と同様の意味合いも在りそうです。
降ろされた下枠+井桁台に符牒をふっていきます。符牒を振り終わった部材を外していきます。
廻り舞台の鉄の心棒を外したところ。キャップのように被せてあるのが分かります。車台のほうでは
車軸と車台を繋ぐ縄が外されました。車軸に頬杖のような部材があるのが見えます。
前輪も車軸を繋ぐ縄が外されます。後輪車軸を上から。頬杖という部材。車軸が前後に倒れるのを防ぎます。
前輪です。この前輪、左右に心棒が突き出ていますが、どうやって、車輪を留めているのでしょう?左右に
ブレることなく中央に留まっている前輪。答えは次回の車輪の外しで明らかに。井桁台のバラしもあります。
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今回は此処まで。次回はいよいよ、最後の工程です。
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川越の山車の構造を探る〜川越山車解体編Cへ
取材に際し、六軒町の関係者の方々、御協力頂いた方々に御礼申し上げます。
2011.7.11up
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